アルゴリズム・ストラテジスト

もうだいぶ前からMy YahooとかでRSSリーダーを使っていたけれども、今月から、このRSSリーダーをもう少しフル活用しようと、そんな一環で特にこの数日で大幅に登録フィードを増やしました。なんとなくGoogleリーダー変えました。My Yahooより使いやすそうだったからです。

どちらかというと、ビジネスをにらんでのことなので、フリーで充実していそうだったロイターとかFTとか、その多くは日本語ですが一部英語も取り入れることにしています。

それにしてもロイターの更新頻度はやっぱりすごいですね。もうすでに未読記事がたまりまくっています。なのでニュース読んでいるだけで日が暮れてしまう勢いです。そして、こんな夜中の今でもなお日本語でもどんどんニュースが入ってきます。

さて、この1年くらい、日本株式市場に限っていますが、マーケットの上昇下落を事前に予想して、ネットポジションをロングにするかショートにするか、というモデルの作成にかかわっています。

2008年に限って言えば、なかなかうまく機能していて、単純にこのモデルに従って株式指数だけに投資するだけでも結構なリターンを得ることがわかりました。もっとも実際に「資金」を使ってオペレーションしていませんので、あくまでも机上の話といえばそうなのですが、指数のみトレードであればとても簡単に実現できますので、実際のお金でやっていれば、シミュレーションとほとんど同じ結果になったでしょう。

しかし、モデルは機能していたとはいっても、どうして勝ったのかということが説明できるかというと、少々怪しいです。そもそもこんなもの結局は「運」でしかなく、「運がよかったからです」と答えるしかないのですが、これじゃあ世の中には通用しないわけで、何らかの説明が必要となるわけです。本質的には「偶然」であるにもかかわらず、その可能性をあたかも低めるような「必然」的な追加説明が必要なのです。

ただし、「それ」がまったくないわけでもありません。

マーケットが上昇するあるいは下落する、という数字をはじき出した根拠は一応数字に基づいて説明することはできます。それはいくつかの要素=ファクターというのがあって、例えば、

・今の10年国債金利水準はかくかくしかじかであり、

・それは過去のトレンドと比較してかくかくしかじかであり、

・また、現時点の市場インデックスとの相関がかくかくしかじかであり、

・その相関のトレンドが過去と比較してかくかくしかじかであり、

・これらを元に、過去に起こった実際の事例の状況と照らし合わせると、かくかしかじかの局面や、かくかくしかじかの局面と非常に似通っているため、

・「●%くらいの確率で日本株式市場が上昇 or 下落する」と予想される

こんな感じで、一応それっぽくは説明はできます。こういう説明だけといのは、よく「定量的説明」といわれております。これだけだと、まったく相手にしてもらえないのです。

だから、よくテレビのコメンテーターみたいがいっているみたいな、

株式市場に重くのしかかっているのが、世界的な景気減速。輸出依存度が高い日本経済にとって、世界景気の回復は株価上昇の前提条件だが、金融危機の震源地である米国経済は、米自動車大手3社(ビッグ3)再建問題や雇用環境の悪化など、難題に直面したままだ。

 外国為替市場も波乱含みで推移している。5日の東京市場では一時、前年末午後5時比1円91銭円安・ドル高の1ドル=92円17銭をつけた。だが、「米国が大型の景気対策を実行すれば、米財政赤字が拡大し、ドル売りにつながるのでは」など、円高に対する市場の警戒感は強い。市場関係者の間では、1ドル=80?100円程度の値動きとの予想が多いが、80円を突破するとの見方もあり、国内の輸出型企業の業績が急激な円高でさらに悪化すれば、一段の株安を引き起こすことになる。

http://mainichi.jp/select/biz/econavi/news/20090106ddm008020063000c.htmlより抜粋。

っぽくしないと聞き入れてもらえないのです。こういうのを「定性的説明」なんていったりします。

世の中受けれてもらうためには、基本、定性的説明じゃないとだめなんです。でも定性的説明だけだと、結果の「レビュー」とか「バックテスト」が客観的にできません。ようは、「言ったっきり」な状態みたいな感じです。

これじゃあ、なんか無責任な気がしませんか。それに、確かに「経験」を積んで話し方は上手になるけれど、武器が「経験」くらいしかなくてスキルとかノウハウとか、そういうものが本当の意味で身につくのか、と疑問に思ってしまいます。

あたるあたらない、それはもちろん大事ですが、きちんとレビューできることのほうがもっともっと大事なのです。

そんなわけで、定量的なスキルはもう十分あるようだから、これからはここにもっともっと定性的なスキルを付け加えていこうかと思っているわけであり、この双方を身につければ、非常に説得力のあるストラテジストを実現できると考えています。

そのためには、やっぱり情報源を増やしかつそれを効率よく整理する必要があります。今までなんとなく使っていたRSSをもっともっと活用しないといけないかな、そんな風に改めて思ったわけです。今更ながらですが、、。

でも決して忘れてはいけないのは、定性面と定量面を融合させること自体は、時間をかければ、はっきり言いまして誰だってできることです。「経験」という名の時間を積めばいいだけだからです。

大事なのは、こういうことを効率よく行うことだと思います。

高々経済を評論することだけで、多くの時間と労力、それに付随するコストを割いているようではお話になりません。

そんなことも踏まえたうえですが、自分のひとつのキャリア目標のひとつに、テレビとかでコメントしているようなストラテジストをアルゴリズムで再現、要するに「ロボット化」するというものがあります。

こうしたアルゴリズムが出来上がれば、すくなくとも、経験や話術だけ当てにしているだけで、実際の中身はただの「言ったきり」という非常に無責任なストラテジストと差別化することができると思うのです。

ちなみに、ストラテジストとエコノミスト、という呼び方がありますが、自分が作りたいのはストラテジストのほうであって、エコノミストではないです。一般的な定義は正直わかっていないのですが、個人的な見解では、ストラテジストは「アセットマネジメント」に直結する人、具体的な投資戦略を立てる人と考えています。ですので、自分が直接行う業務とかかわってくるのは、ストラテジストのほうだということになります。

なので、きれいに説明できるだけではだめで、「勝たないと」いけないんです。

きちんと勝ち負けにもこだわる、この点が通常のセルサイド的なストラテジストとは違うところであり、この点まで踏まえたストラテジストは、そういないはずです。

もちろん、定性面、定量面、どちらも高度に兼ね備えているストラテジストはいるでしょう。実際、この数年におけるクオンツアナリストというのは、どちらかというとストラテジスト的なニーズが増えてきていると思います。しかし、いずれにしても、その人数は非常に少数であることには間違いありません。さらに、自分はここに徹底的な効率化を求めているため、経験だけでは太刀打ちできない要素も加えようしているので、もっと希少価値を出せるのではと考えています。

ロボットが人と同じように話す感じです。WBSなんかでコメンテーターみたいに。

なので、「ニュース」というデータが欠かせない。残念ながら現在の情報ベンダーのサービスでは、過去のニュースをインプットデータとしてシミュレーションするのは相当難しいので、これから、ある意味ぶつけ本番でアウトサンプルをストックしていかなければいけません。相当難しい課題であることに間違いないでしょう。

とまあ、とても雲をつかむような話ですが、とりあえずは、そんな理想にどう近づこうかか、そんなことを画策しているところでしょうか。時間はかかるでしょうね。

プロフィール

都内の会社に務める傍ら、休暇を利用して旅行をしたり音楽活動をしているビジネスマン。趣味は、旅行、音楽など。旅行はヨーロッパが中心、現地でレンタカーを借りて旅することにはまっています。フランスの最も美しい村全156箇所を完全制覇!音楽はクラシックが中心。ヴァイオリンの演奏もします。最近は健康のためにランニングを開始。マラソンも。Marathon du Médoc 2014含む数回のフルマラソンを完走しています。